時代・社会のニーズに対応できる放射線看護学を目指して
日本放射線看護学会は、2018年4月2日、一般社団法人「日本放射線看護学会」として新たなスタートをきることになりました。
本学会は、科学的な基盤に基づき、時代・社会のニーズに的確に対応できる放射線看護学の確立、進化・発展の必要性を認識した先輩諸氏のみなさまの強い念いの元に、2012年に任意団体としてスタートした学会です。
放射線看護学は、対象とする「放射線」には実用の視点に着目し、実践の科学である「看護学」と融合させた専門領域です。したがって、「放射線看護学」は、現場感覚を大切にした応用科学(AppliedSciences)の最先端の専門領域であると認識しております。
1895年に、エックス線が発見され、放射線・放射性物質の利用は医療の領域から始まり、今日の医療において放射線は不可欠な診療手段の一つとなっております。放射線診療技術は、日進月歩で進化している中で、応用科学としての「放射線看護学」の役割は、放射線を受ける人々(被ばく者)の「安心・安全」の確保のための看護の視点からのエビデンスを「つくり」、「つたえ」「つかっていく」ことであると考えております。
放射線の利用領域は,医療に限りません。工業領域,農業領域、エネルギー関連領域等の幅広い領域にわたっており、今後さらに拡大していくことを期待しています。それに伴い、「放射線看護学」が関わっていく領域は、「アンフィニー」であり、夢と期待を持って取り組んでいける専門領域であると認識しております。
放射線看護学が、時代・社会の多様なニーズに対応できる専門領域として,さらに進化していくためには、放射線医学、放射線防護学、放射線計測学、リスク学など、他の専門領域とのコラボレーションがますます重要となってきます。
わが国は、国民線量の中で医療被ばくの占める割合が最も多い国として注目されております。また、1945年の広島・長崎の原爆被災,2011年の原子力発電所の大規模な事故を経験しております。看護の視点から国際的に積極的に発信していくことも学会としての大きな役割です。
法人化を機会に、放射線看護学のさらなる発展を目指して、短期・長期的な具体的な目標を明確にし、社会的な責任を確実に果たすことができる組織として成長していきたいと思っております。
会員のみなさまのご協力・ご支援よろしくお願いします。
2018年4月
理事長 草間朋子