オンラインジャーナル

Vol.13 No.2

原著論文

Vol.13 No.2 pp.41-49
NICU ポータブルX 線撮影における散乱X 線源の特定と防護策の検討
鉢呂 七海1・小山内 暢2・畠山 蒼舞1, *・細川 翔太2・對馬 惠2・山口 一郎3・細田 正洋2・工藤 幸清2
1 弘前大学医学部保健学科
2 弘前大学大学院保健学研究科
3 国立保健医療科学院生活環境研究部
* 現所属:青森県総合健診センター
キーワード: 散乱X 線、ピンホールカメラ、NICU、保育器、職業被ばく
新生児集中治療室(neonatal intensive care unit: NICU)でのポータブルX 線撮影では、保育器(以下「クベース」とする)のカバー越しに患児にX 線を照射するため、複雑な散乱X 線分布を呈すると予想される。防護策の検討には、各散乱X 線源を特定する必要があるが、線量測定のみでは評価困難である。本研究では、自作の鉛製ピンホールカメラを用いたファントム実験にて、NICU でのポータブルX 線撮影時の散乱X 線源を可視化し、職業被ばく管理の適正化に資することを目的とした。患児ファントムに一次X 線を照射し、介助者位置での散乱X 線によるピンホール像を得た。患児ファントム以外に、クベー スやX 線管の面積線量計からも無視できない散乱X 線が発生していることが確認された。また、線量測定により、クベース表面の高さ付近で散乱X 線量が多いことが明らかとなったため、防護の最適化の観点で、介助者は当該位置に顔を近づけない、X 線管の射出窓部へ防護カーテンを装着するといった対策が望まれる。
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