オンラインジャーナル

Vol.2 No.1

原著論文

RJ-02003: Vol.2 No.1 pp.12-18
放射線治療を受けた咽頭がん患者の有害事象評価――放射線性皮膚炎を中心に――
吉田 浩二1,2・宮地 麻美3・鍜治 朋子3・朝長 さつき3・伊藤 陽子3・川久保 真弓3・中島 香菜美1,3・佐藤 良信4
1 長崎大学原爆後障害医療研究所国際保健医療福祉学研究分野
2 福島県立医科大学災害医療総合学習センター
3 長崎大学病院
4 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
キーワード:放射線治療、放射線性皮膚炎、CTCAEv4.0
咽頭がんの多くは、解剖学的特性から手術では大きな機能障害と形態欠損を伴うため、しばしば放射線治療の対象となり、その治療成績は良好である。しかし、その治療の過程には有害事象の局所反応がみられ、そこに生じる苦痛は、治療を受ける患者にとって大きな悩みとなる。本研究は、放射線治療を受けた咽頭がん患者37名(男性35名、女性2名)を対象に、有害事象(放射線性皮膚炎、嚥下障害、咽頭痛)の発生状況と、CTCAEv4.0を用いた放射線性皮膚炎の経時的な変化、症状に対するステロイド軟膏の使用時期について調査した。多くの症例で有害事象は観察された。放射線性皮膚炎に関して、有害事象の重症度の進行は個人により異なったが、発生時期や進行状況には類似した傾向がみられた。また、その症状に対するステロイド軟膏の使用時期は、総線量で25.2Gy~63.0Gy(中央値;45.0Gy)の範囲であった。定期的な患者面接による有害事象の評価は、有害事象の程度の把握や個別の対応に有効であったと考えられる。今後、患者の有害事象の評価をより効果的に行うために、患者面接時期や評価法の見直しが必要であると示唆された。
このページの最初に戻る