オンラインジャーナル

Vol.5 No.1

短報

RJ-05003: Vol.5 No.1 pp.31-38
福島第一原子力発電所事故後における福島県内保健師のメンタルヘルス――ストレス対処能力からの一考察――
吉田 浩二1・新川 哲子1・浦田 秀子2・高村 昇2
1 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
2 長崎大学原爆後障害医療研究所
キーワード:保健師、福島第一原子力発電所事故、首尾一貫感覚(Sense of Coherence)、メンタルヘルス
福島第一原子力発電所事故後における福島県内保健師へのメンタルヘルスに関する支援をストレス対処能力の側面から検討するために、ストレス対処能力の実態とその関連要因を明らかにすることを目的とした。福島県内保健師に対し、ストレス対処能力の評価のため首尾一貫感覚の尺度13項目(以下SOC)と精神的健康調査票12項目版(以下GHQ)を用いたアンケート調査を行った。SOCは得点が高いほどストレス対処能力が高いと評価され、GHQは得点が高いほど精神健康上に問題があるとされる。有効回答者430名の結果からSOCの中央値(44点)で二群に分類し、比較検討を行った。SOC 44点以上群は、SOC 44点未満群に比べて、現在の放射線の不安度が低く、GHQ得点も低い状況であった。また、SOC 44点以上群は、“現在の放射線の不安度が低い”および“GHQ得点4点未満”と有意な関連がみられた。本研究において、ストレス対処能力と放射線不安および精神的健康度との関係性からストレス対処能力を高め、メンタルヘルスを良好に保つためには、放射線に関する不安軽減に向けたサポートの必要性が示唆された。
このページの最初に戻る