オンラインジャーナル

Vol.8 No.2

研究報告

Vol.8 No.2 pp.113-121
原子力発電所事故後の長期避難から帰還後のコミュニティ復興に活用可能なソーシャル・キャピタル
木立るり子1・山田基矢1・清水真由美2・菊池和貴2
1 弘前大学大学院保健学研究科
2 弘前大学被ばく医療総合研究所
キーワード:ソーシャル・キャピタル、コミュニティ、復興、原子力発電所事故
原子力発電所の事故後に長期避難を経て帰還したX町住民3名の語りから、コミュニティ復興に活用可能なソーシャル・キャピタルを導くことを目的とした。帰還したX町に居住している3名を対象に半構造化面接法で実施、得られたデータを抽象化しカテゴリーを導いた。X町住民のソーシャル・キャピタルとして、日本の旧来の人間関係づくりと互助のカテゴリーが【旧来は行政区、班、隣組のつながりで密着していた】として得られた。歴史文化的な【歴史的にヨソ者を受け入れてきた】【基本的に地域への愛着がある】の共存が、コミュニティ復興には強みとなる相補のソーシャル・キャピタルとして抽出された。帰還後の状況を示すカテゴリーとして【居住者がつながる集会ができている】が抽出された。ヨソ者を排除しないという資源は、地域への愛着と一緒になって、結束の強いネットワークの弱点を補完し、コミュニティ復興には強みとなることが示唆された。
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