オンラインジャーナル

Vol.9 No.2

実践報告

Vol.9 No.2 pp.88-96
看護学生に対する放射線リスクコミュニケーションの実践
——遠隔講義による学修効果——
山口 拓允・関島 永子・鳴田 茂行・江原 麻里子・田中 真樹・山本 尚幸・杉浦 紳之
公益財団法人原子力安全研究協会
キーワード:放射線リスクコミュニケーション、看護学生、放射線教育
今回、原子力発電所立地県にある大学の2年次看護学生に対し放射線の健康影響に関する講義を実施し、その講義前後で東京電力(株)福島第一原子力発電所事故の被災地における放射線の健康影響に関するリスク認知、放射線に対する不安等の変化とその理由が得られたので報告する。アンケートの結果、起こる可能性が低いと回答した割合は、後年に生じる健康障害(講義前:24.3% vs.講義後:94.7%, p<0.001)、次世代以降への影響(47.1% vs. 97.3%, p<0.001)であり、ともに講義後は講義前に比較して有意に放射線リスク認知の改善が見られた。また放射線に関する不安においても同様の結果であった(25.7% vs. 4.0%, p<0.001)。これは、講義前にはこれまで見聞きした情報でリスク認知を判断していたものが、講義後によって科学的根拠が得られ、それに基づいた判断ができるようになったことが影響した可能性が考えられる。
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